大型構造物実験棟

 大型構造物実験棟には,三階建て程度の実大建物の加力実験を行えるように鉄筋コンクリート製の反力床(厚さ1.5m)および反力壁が設置され,加力用の鉄骨骨組や各種油圧ジャッキおよび電動ポンプが整備されています。1000kN押し引き油圧ジャッキ(二台)にはサーボ・バルブが搭載されているので,コンピュータによる精密な変位制御によって正負交番繰り返し載荷実験を行うことが可能です。また,互いに直交する三方向の力を一点に載荷できる特殊なユニバーサル・ジョイントを保有していることが大きな特徴です。実際の地震では建物に三方向から力が作用します。この装置を使うことで試験体に与える三方向外力を厳密に設定することができ,きわめて精度の高い実験を実施できます。


実験風景紹介

 大型構造物実験棟での実験例を以下に紹介します。写真1は水平二方向および鉛直方向に載荷した鉄筋コンクリート柱梁部分骨組における柱梁接合部の軸崩壊実験,写真2は二層三スパンの縮小鉄筋コンクリート骨組を連層鉄骨ブレースによって耐震補強したときの耐震性能評価実験,および写真3はあらかじめ工場で作製した鉄筋コンクリート板を組み立てて作った開口付き立体耐震壁の地震時挙動を調査する実験の様子です。このように,骨組あるいは建物から抜き出した壁などの部材に地震力を模擬した荷重を載荷する実験によってそれらが破壊に至る状況を子細に観察し,耐震性能を評価する手法を構築し,ひいては新しい耐震設計法を提案することを目標にして日々の実験・研究を行なっています。

写真1 鉄筋コンクリート柱梁部分骨組の三方向加力実験
(左側:反力壁、白色試験体上部:ユニーバーサルジョイント)
写真2 鉄骨ブレースで耐震補強した
二層三スパン縮小鉄筋コンクリート骨組の実験
写真3 プレキャスト鉄筋コンクリート
開口付き耐震壁の性能評価実験